1.投資概要
株式会社みらい創造機構(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:岡田 祐之、以下、みらい創造機構)は、みらい創造二号投資事業有限責任組合(以下、みらい創造二号ファンド)より株式会社 FerroptoCure(所在地:東京都千代田区、代表取締役CEO:大槻雄士 、以下 FerroptoCure)に新規投資を実行致しました。
FerroptoCureは、 東京理科大学イノベーション・キャピタル株式会社 、 Diamond Medino Capital 株式会社、 株式会社みらい創造機構 、 ANRI 株式会社、 国立研究開発法人科学技術振興機構などを引受先とした 第三者割当増資により、 資金調達を実施しました。
2.投資先事業概要
FerroptoCureは、フェロトーシス(細胞死)誘導という新しい作用機序を持ち、がんの再発や転移に関与するがん幹細胞を壊死させる最先端の抗がん剤開発を行う創薬ベンチャーです。慶應義塾大学 遺伝子制御研究部門にて開発した研究成果を基に、東大IPC 主催の1stRoundや中小機構FASTAR、GTIE GAPファンド等の支援を通じて設立されました。
がんや神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)など様々な疾患において、その発生や悪化に関わるとされているフェロトーシスに注目し 、 次世代の抗がん薬やその他疾患の治療薬 の 開発 を 進めています 。最新の研究により、がんの治療抵抗性においてフェロトーシスの制御が、がんの発生や進展、転移に強く関与することが知られています。特に、がん細胞にしばしば高発現しているシスチングルタミン酸交換輸送体のサブユニット xCT は、抗酸化物質である還元型グルタチオンの原料となるシスチンを細胞内に取り込む働きを持ちます。そのため、xCTの阻害によりフェロトーシスを誘導できることが知られており、がん治療の有望な標的の一つであるとされています。
FerroptoCureはこのメカニズムを標的とした抗がん剤の開発を行い、基礎実験にて有効性の高いデータを得ており 、この開発を通じ、がん患者様へ新しい治療法を届けることを目指しています。
FerroptoCureは今回調達した資金を用いて、医療機関と連携し、リードプロジェクトに関する治験の実施、およびその他プロジェクトの非臨床試験を含む開発を推進していきます。
東京工業大学西山研究室との共同研究は他大学との医工連携のモデルでもあり、今後もFerroptoCureを資金面、経営面から支援して参ります。
3.投資先会社概要
会社名 | 株式会社FerroptoCure |
設立 | 2022年5月30日 |
所在地 | 東京都千代田区富士見1丁目 富士見デュープレックスB s 4F |
代表取締役CEO | 大槻雄士 |
URL | https://ferroptocure.com/ |
東工大/高専関連 | 東工大発ベンチャー称号145号 東工大 西山伸宏教授が取締役 |
4.みらい創造二号ファンド概要
みらい創造二号ファンドにおいては、東工大やLPの皆様、他の連携先と密に連携しながら、東工大関連ベンチャーの創出/投資/育成を進めると共に、高等専門学校へファンドによる支援領域を拡げ、東工大を中心とした技術・技術者によるイノベーション創発をより一層推進して参ります。
<投資対象>
- 東京工業大学“発”ベンチャー
東工大が認定する東工大発ベンチャー称号を持つベンチャー、東工大の研究成果を活用したベンチャー、東工大と企業との共同研究から生まれるジョイントベンチャー - 東京工業大学“着”ベンチャー
東工大の技術・研究成果を導入、または導入予定のベンチャー - 東京工業大学“人”ベンチャー
東工大の在校生・卒業生・教員等が創業/役員として経営責任を担うベンチャー - 高等専門学校関連ベンチャー
高等専門学校(以下、高専)の技術・研究成果を活用したベンチャーや、在校生・卒業生・職員が創業/役員として経営責任を担うベンチャー - その他の大学・研究所関連ベンチャー/企業からのスピンアウトベンチャー等有望な技術系ベンチャー
5.みらい創造機構会社概要
みらい創造機構は、2016年に東京工業大学と社会連携活動の推進に向けた組織的連携協定を締結し、33.4億円の東工大関連ベンチャーキャピタルファンドを設立・運営しております。2020年には高専キャリア教育研究所を100%子会社化し、2021年に設立した2号ファンドにおいては、投資先を東工大関連ベンチャーに加え高専関連のベンチャーにまで対象領域を広げて活動しています。
投資実績としては、現在までに42社への投資を実行し、3社が上場しています。東工大発ベンチャー称号を保有する投資先の株式会社ツクルバ、KIYOラーニング株式会社が、2019年、2020年と連続して東証マザーズに新規上場、2021年には株式会社QDレーザが新規上場しました。
JST START事業の事業プロモーターとして活動している他、GTIE協力機関、メンターを務める等、研究段階から起業後の資金調達、ハンズオンまで、技術の社会実装に伴走しています。2022年にはグロースチームを組成し、“Deep Tech”スタートアップの事業成長に向けた多面的な支援を提供しています。大学系VCや中小機構、北九州市と連携協定を結び大学関連ベンチャーをとりまくエコシステム形成を進めています。