1.投資概要
株式会社みらい創造機構(所在地:東京都港区、代表取締役社長:岡田 祐之、以下、みらい創造機構)は、みらい創造二号投資事業有限責任組合(以下、みらい創造二号ファンド)より株式会社elleThermo(所在地:東京都港区、代表取締役:生方 祥子、以下elleThermo)に追加投資実行致しました。
今回elleThermoは、プレシリーズAラウンドにて、慶應イノベーション・イニシアティブ、環境エネルギー投資、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、ヒューリックスタートアップ、KDDI Green Partners Fund及びみらい創造二号ファンドを引受先とした第三者割当増資によって、総額3.6億円の資金調達を実施致しました。
2.投資先事業概要
elleThermoは東京工業大学発のコア技術「半導体増感型熱利用発電(Semiconductor-Sensitized Thermal Cell, 以下STC)」を活用し、未利用熱のエネルギー変換を目指すスタートアップです。
STCは、化学系太陽電池である色素増感型太陽電池において、「色素の光励起」を「半導体の熱励起」に変えて発電する熱エネルギー変換技術です。室温程度の低温度帯に存在する熱により発電ができることが特徴です。一定温度下で、化学平衡状態(平衡A)に到達すると発電が終了しますが、電源回路のスイッチを切り電力を取り出さない状態で平衡系(平衡B)に移行させることで、再度発電します。
本技術の詳細は公開総説(https://www.yhmf.jp/as/postnumber/vol_86_05.html)や同社YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@elleThermo)をご参照ください。
elleThermoは前回の資金調達以降、STCの試作開発を進め、マイクロワットレベルの発電を達成しました。今回の資金調達を活用して、大面積化・積層化・薄層化などの要素技術を確立し、ミリワットレベルの発電を達成します。その後、電解質開発・耐久性向上・長期放電特性確立などにより、ワットレベルの発電を達成する予定です。
同社のメインターゲット温度は、人間がメンテナンスのために耐えられる温度(40℃付近)であり、データセンター、鉱山地熱、家電、放射性廃棄物貯蔵施設など、幅広い熱源が設置環境となりえます。最終的には60 cm × 60 cm × 3 cm×4枚で200 W出力のサーモパネルを利用した地産地消の分散型電源事業を展開し、世界のエネルギー問題の解決へと結びつけます。
STCはデータセンターなどの成長産業から期待されており、非常にポテンシャルの高い、エネルギー問題解決に貢献する技術です。今後もelleThermoと共に本課題解決に取り組んで参ります。
3.投資先会社概要
会社名 | 株式会社elleThermo |
設立 | 2023年2月22日 |
所在地 | 東京都港区芝浦三丁目3-6 東京工業大学キャンパス・イノベーションセンターINDEST 3F |
代表取締役 | 生方 祥子 |
事業内容 | (1)再生可能エネルギー発電及びオール電化製品・機器、 その他の新エネルギーに係る製品・機器の製作・販売並びに それらのメンテナンス・コンサルティング・知識の社会への普及業務 (2)前号に附帯関連する一切の事業 |
URL | https://ellethermo.studio.site/ |
東工大/高専関連 | 東工大発ベンチャー称号 第148号 |
4.みらい創造二号ファンド概要
みらい創造二号ファンドにおいては、東工大やLPの皆様、他の連携先と密に連携しながら、東工大関連ベンチャーの創出/投資/育成を進めると共に、高等専門学校へファンドによる支援領域を拡げ、東工大を中心とした技術・技術者によるイノベーション創発をより一層推進して参ります。
<投資対象>
- 東京工業大学“発”ベンチャー
東工大が認定する東工大発ベンチャー称号を持つベンチャー、東工大の研究成果を活用したベンチャー、東工大と企業との共同研究から生まれるジョイントベンチャー - 東京工業大学“着”ベンチャー
東工大の技術・研究成果を導入、または導入予定のベンチャー - 東京工業大学“人”ベンチャー
東工大の在校生・卒業生・教員等が創業/役員として経営責任を担うベンチャー - 高等専門学校関連ベンチャー
高等専門学校(以下、高専)の技術・研究成果を活用したベンチャーや、在校生・卒業生・職員が創業/役員として経営責任を担うベンチャー - その他の大学・研究所関連ベンチャー/企業からのスピンアウトベンチャー等有望な技術系ベンチャー
5.みらい創造機構会社概要
みらい創造機構は、研究開発型スタートアップの創業前から起業後の事業拡大まで、技術の社会実装に伴走し”みらいを創造する”活動を行っています。
2016年に東京工業大学と社会連携活動の推進に向けた組織的連携協定を締結し、ベンチャーキャピタルファンドを設立しました。現在は2つのファンドを運営し、東工大関連ベンチャーを中心に研究開発型スタートアップへ投資を行っており、実績としては3社が上場、4社がM&Aを実現しています。創業前の技術シーズからの事業化にも注力しており、大学発新産業創出プログラムや地域のスタートアップ・エコシステム共創プログラムにて複数採択され、研究者へ伴走しながら新たな産業の創出を推進しています。
2023年度NEDO「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)」に採択され、客員起業家(EIR)制度を運用しながら、研究開発型スタートアップへの経営人材供給・育成にも取り組んでいます。中小機構関東本部、つくば研究支援センター、北九州市、九州工業大学や大学系VC等と連携協定を結び研究開発型スタートアップをとりまくエコシステム形成を進めてまいります。